【官能小説】第一話「ホテルについたらとりあえず裸? おバカな彼の性癖に呆れちゃうけど……」
「ほぉら、早く脱いで!」
本当に邪気の欠片も無く、無邪気に彼が笑う。
彼はホテルに着いて靴を脱いで部屋に入った途端、上を脱ぎ、下を脱ぎ……スッポンポンになっている。
いつものこと。なのだけど。
あー、やっぱバカだ、コイツ。
毎回そう呆れて、何とも……溜息が出てくるのだけれど。
「早くはやくっ! はい、ほら、腕上げて♪」
彼が歩み寄ってきて、私は言われるがままに両手を上げた。
そのままちょっと乱暴にワンピースを脱がされる。……で、やっぱり呆れて、溜息が出る。
「あのさ、もっとムードとか雰囲気とか、そういうの無いわけ? 今日だってデート始まったばっかだし」
官能小説「ラブホテルが大好きな彼~鏡のお部屋で~」第一話
「俺は君と、一秒でも長く裸で過ごしていられればそれでいーの」
「私の希望とか、そーいうのは聞いてもらえないわけ?」
「難しい話はいいからほら、下も脱ぎましょうね?」
バカだ。絶対バカだ。バカすぎる。
わかってるけど、呆れてるけど、私はいつも通りに、成すがまま。
デート! と言えば、じゃあラブホテル! と言うくらい、ラブホテルが好きで好きで好きで、本当に好きでたまらないらしい、彼。
お互い働いていて、収入もあって、それなりにいいマンション借りてるのに、自宅でエッチしたのなんて……付き合い始めの頃くらい。
で。
彼のエッチの趣向は、とりあえずラブホに入ったらすぐに裸になって、まったり過ごしながらエッチもして、テレビ見たりお風呂入ったり……、って、それ、やっぱ変だ、
「難しい話じゃない! こう、やっぱりこういうのって、ロマンとか、いや、せめてたまにはでいいから、ロマンチックに、」
「じゃあそれはまた今度ね。……はい、脱げました! じゃっ、ベッド行こ♪」
「ひゃあっ!」
イヤらしい手つきで、くびれの部分から背筋をぞわっと撫でられ、肩を抱き寄せられる。
肌と肌が直接触れ合うと、彼のぬくもりが直接伝わってきて、否が応でもドキドキしてしまう。
「やっぱり可愛いなぁ♪ うん、可愛い、可愛い」
「ちょっ……あんっ! あっ、こ……らぁっ!」
半分無理やりベッドに向かって歩かされる間にも、彼の手が私の胸の頂に伸びてきて、慣れた手つきでクリクリと弾いてくる。
彼の柔らかな指の腹が、私の乳首を押したり、摘まんだり、時折乳房全体を持ち上げるように揉んだり、離したり、わざとブルブル震わせたり、
「ちょぉ……っとんっ!」
「お風呂にする? ビデオにする? 先にしちゃう? まずはお茶でも? あー、でも俺は、今日はこのまま、しちゃう気分かも!」
「わっ……たし……ああんんっ!」
私の意見なんて、一度も聞いたためしが無いくせに!!
抗議しようと思ったけれど、声にならない。
ベッドの上に突き飛ばされて、抗議する間も無く彼に上から飛びつかれる。