【投稿官能小説】ショートショート『ありさ 外は雨』
Shyrock様 作
とある週末の風景。
外は雨……雷が鳴り響いてる。
ありさと俊介はいつものようにベットの中にいた。
俊介はありさの上になって攻めていた。
ベッドサイドのグラスに入っている琥珀色の液体が揺れている。
2つのグラスのうち1つは空になっている。
アルコールはありさの方が強い。
俊介はありさの両手を広げさせ、手を重ねていた。
ありさの細い指と、俊介の太い指が絡み合っている。
俊介の手が強く強くありさの手を握りしめる。
男の力を感じさせる。
ありさは髪を揺らし、首を振りながら、俊介の攻めに身体中で耐えていた。
「あぁ……、しゅ、俊介、今日すごいわ。まるでいつもと違う感じ。ふた周りほど大きいような……、あぁ、あぁ~、すごいわ~」
ありさは喘ぎながら愛に溺れていく。
俊介の太い指がありさの指にさらに絡む。
ぎゅっと握る。
まるで黒っぽい俊介の手が、白く華奢な手を握りつぶすのではないかと思うほど。
「ねえ、何か言ってよ。何かあったの? 今日何か変だわ」
俊介のクールな表情は変わらない。
いつもそうだ。
イカされるのはありさ。
でもそんな一言はすぐに忘れてしまう。
愛に溺れてしまう。
我を失い掛けてきた。
俊介が腰の位置を少しずらした。
もうイキそうなありさの最も感じるツボを攻めに入る。
たとえ不倫であっても、数年間、肌を重ねあってたらお互いの身体のことは知り尽くしている。
「あん、だめよ……。そんなことすると、わたしイッちゃうわ。ねえ、何か言って……」
ありさは愛の言葉が欲しかった。
そして逆に俊介の手をぎゅっと握り返した。
一緒にイキたいという意志表示なのだ。
いつもなら一段と俊介が攻めに入る頃だ。
俊介が腰の動きを緩めた。
いつもならありさへの愛の言葉が出てくるタイミングなのだが。
俊介はポツリとつぶやいた。
「こういう関係、もう終わりにしようか……」
俊介は腰の動きを止めると、手の絡みを自分からほどいた。
「いやよ……」
ほどかれた手を再び握り返すありさの手。
その手は火傷をするのでは、と思うほど熱かった。
外は雨……雷が依然鳴り止まない。
この雨が止むと本格的な夏が到来するのかも知れない。
俊介と出会ったのもちょうど7月のことだった。
完
「愛と官能の美学」様よりご投稿いただきました
こちらの官能小説は、Shy様よりご投稿いただきました。
ヒロインのありさ嬢の物語は、「愛と官能の美学」様でもっとご覧いただけます。
このたびは素敵な作品の掲載許可をいただきましてありがとうございました!